2014/10/20 | 胆管がん事件で印刷会社などを略式起訴 | | by:joshrc |
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10月16日、大阪地方検察庁は大阪市中央区の印刷会社「サンヨー・シーワィピー」と会社社長を労働安全衛生法違反で大阪簡易裁判所に略式起訴しました。また、同社の元従業員や遺族らでつくる「胆管がん被害者の会」は、同社とのあいだで補償金の支払いに関して示談が成立したことを発表しました。
以下、同会事務局からコメントが発表されましたので紹介します。
<SANYO-CYP胆管がん被害者の会の略式起訴を受けてのコメント>
株式会社SANYO-CYP社と同社山村直悳社長に対する略式起訴にあたってのコメント
1)今回の労働安全衛生法違反(産業医未選任など3点)による略式起訴 は、通常は行政指導に止まるこのような違反行為に対して、行政指導にとどまらない法的処分を行うという前例となり、巷間、安衛法が軽視され、この種の違反行為が常態化していることに厳しい警鐘を鳴らすものであると評価できる。
2)しかしながら、胆管がん17名発症、うち9名死亡という事件の重大さを前にして、業務上過失致死罪の適用が見送られ、安全衛生法違反による罰金の「微罪」で済んでしまうという点は、社会常識の点から、被害者感情の点から、また、同種違反企業への抑止効果としてはきわめて不十分である点から考えても、法制度上に大きな欠陥があるといわざるを得ず、きわめて問題である。
3)今後の同種事件の再発を防ぐためには、安衛法の 違反に対する重罰化、事件責任者を厳しく処罰することを容易にする新たな法の制定が不可欠である。
4)また、本事件のベースには、SANYO-CYP社が創業当初から安全衛生法を無視した操業を行っていたことがあり、それによる幾多の安全衛生法違反を労働行政(大阪労働局、大阪中央労働基準監督署)が見逃してきたと考えられる。検察の処分については結論が出たが、そのことは、本事件の一部を構成する要素に過ぎない。より重要なのは、日常的な規制権限を行使する立場の労働行政が、SANYO-CYP社にどのような対応をしてきたのか、ということである。この点での検証がなされ、結果が明らかにされる必要があることを、この際申し添える。
SANYO-CYP胆管がん被害者の 会
事務局長 片岡明彦